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2003代表理事メッセージ

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人々の「営為の継承」と渉り合う
逸見 勝亮

rijiy 人の営為には少なからず営為そのものの継承が含まれている。「営為の継承」とはすなわち広い意味での教育であり、しかもそれは「営為の歴史」抜きにはあり得ぬ。だから、人は意識するとしないとを問わず、歴史的に、しかも常に教育史的に振る舞っている、というのは誇張ではない。
このことは、無数に存在する教育の事象から、教育史学の対象を選び取る困難を示唆してもいる。その故に、教育史学は絶えざる対象拡大の過程をたどるのである。このような悲観と楽観の間で、人々の「営為の継承」と渉り合いながら、教育史学は自らの在り様を模索する。
勤労動員・少年兵・学童疎開・戦没者寡婦教員養成所・敗戦後の奉安殿・戦争孤児・浮浪児・新制中学・校歌の変遷・自衛隊生徒・行幸と児童の奉迎などを講じていて、受講学生の一人が「教育史って、法律や制度ばかりかと思っていたけど、ひとりひとりがどう生きてきたかを考える学問なんだ」と感想を述べた。僕にとって模索を解きほぐす鍵である。
撮影:中村瑞穂

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