ドイツ教育史学会研究大会論文募集のお知らせ
2024-12-10 その他のお知らせ
ドイツ教育史学会研究大会論文募集
テーマ:教育史研究の対象としてのアクティビズム(積極的行動主義)
会場:カイザースラウテルン・ ランダウ工科大学(ドイツ、ラインラント・プファルツ州)
日程:2025年9月8日~10日
実行委員:アンジェロ・ヴァン・ゴルプ、アミ・コバヤシ、スザンネ・シュピーカー
■研究大会のテーマ趣旨
予定されている研究大会では、民主的な国民国家という文脈におけるアクティビズム(積極的行動主義)に焦点を当てる。国家が機能していないと感じる場合、市民たちは社会活動を生み出し、再構築するための組織構造を開発してきた。この点で、私たちがアクティビズム(積極的行動主義)と呼ぶものが生じる。それは不当なもの、抑圧的なもの、差別的なものと認識される状況への対応として生まれる。この観点では、トーマス・ハンフリー・マーシャルの「社会的市民権」の概念は、すべての市民に平等な市民的、政治的、社会的権利を与えるものであり、興味深いものである。
アクティビズムは、市民社会や市民権に関する議論と関連付けられることが多い。 アクティビズムは、高まる不満や民主主義の神話の崩壊、そして民主主義への疑問を伴う。この批判は抗議運動という形で現れ、通常は制度の外で行われる。その行動や闘争は本質的に社会的かつ解放的なものである。このように、アクティビィズムは社会世界を省察するプロセスであると同時に、社会世界に能動的に介入するプロセスでもある。同時に、アクティビズムは政治的・社会的であるだけでなく、本質的にはイデオロギー的、文化的、教育的でもある。アクティビズムは、文化、メディア、非公式な学習の場、民主的な学習や社会運動の形態と「教育」が相互に作用する公共の教育の一形態と見なすことができる。
アクティビズムを公共の教育と捉えるならば、アクティビスト(積極的活動家)が公共の空間や政治、社会や文化に影響を受けた思考や行動を、どのようにして教育目的のために(新たに)設定するのかを理解することができる。19世紀から20世紀にかけて、女性、貧困層、少数民族、障害者など、さまざまな社会的弱者や差別を受けている人々や周縁化された人々が、直面する社会的不正義に対して、彼ら自身の生活体験や知識を生産し、共有し、発信することを目的として、公に目に見える形でのアクティビズムを行ってきた。つまり、公共の教育とは、地域社会、保健・社会サービス、教育などの分野で具体的な変化をもたらす草の根的な現象として説明される。学校は社会的真空状態にあるのではなく、むしろ政治的、社会的、文化的想定に満ちている。これらの空間における教育的な要素が、正式な教育の実践や表現からどのように逸脱し、問題提起し、混乱され、抵抗し、あるいは強化さえしているのかを検証することは興味深い。19世紀、特に20世紀には、学校は社会問題が教育化される場となり、公式カリキュラムだけでなく、隠れたカリキュラムの一部ともなった。デューイが教育と民主主義の関係を考察した中で明言した通り、学校は社会参加意識と批判精神を備えた市民を育成する場となりえるものなのである。その一例として、20世紀の「批判教育学」が挙げられる。そこでは、例えば ジェンダーの不平等や性的平等について批判的に考察し、民主的な市民権の妨げとなる支配的な教育方法を理解し、それに抵抗するための手段を開発するために、教室を活用してきた。このように、アクティビズムは集団だけでなく個人による実践でもあり、さらにはジェンダーと民族や社会的出自との関係、インターナショナルおよびトランスナショナルな視点に焦点を当てることも可能になる。
■募集内容
教育史の観点から、以下の6つのトピックに関する個人の提案(発表)、パネルによる提案(発表)、ワークショップによる提案(発表)を募集する。
- アクティビィズムと危機、特に社会的アクティビズム、環境保護アクティビズム、戦争と平和アクティビズム、 イデオロギー的アクティビズム
- アクティビズムとジェンダー
- 民族・文化的アクティビズム
- アクティビズムの物質性と源泉
- アクティビズムの空間、特に草の根組織、教育システムにおけるアクティビズム
- アクティビスト(積極的活動家)の「内面」:アイデンティティと感情
■提案(発表)の申込先
下記アドレスまで送付願います。
ezw-sektionstagung2025@rptu.de
■重要な期日
・発表、パネル、ワークショップの締切出:2025年3月31日
・プログラムへの提案の採択に関するフィードバック:2025年4月30日
・研究大会:2025年9月8日~10日
■提案(発表)の申請の際の書式・分量
○単独発表:タイトル、400語以内の要旨と参考文献を記載した提案書
発表時間は通常20分
○パネル(最大3つの発表):パネルのタイトル、趣旨および構成を400語以内で提出。各発表のタイトルと参考文献を含む要旨を400語以内の要旨も提出。発表者は、発表に1時間、それに続く30分の討論を予定のこと。
○ワークショップ(最大3名の発表者):タイトル、趣旨を含む500語以内の要旨を記載した企画書を提出のこと。1時間半の予定。
■研究大会の言語:ドイツ語、英語